2022年7月23日
2022年7月22日-7月23日に岐阜市とウェブでハイブリッド開催された第40回日本骨代謝学会学術集会において、大学院生の日髙尚子先生の発表が優秀演題賞に選出されました。
国内の腫瘍性骨軟化症88例を解析し、診断や治療の詳細についてまとめた報告となります。
診断に関しては、腫瘍性骨軟化症の骨痛に対する初診診療科が整形外科や一般内科、膠原病内科であるため、これらの診療科に対して疾患啓発を実施していけば早期診断に結びつくであろうことが示唆されました。
また腫瘍局在の同定に関しては、保険診療で実施できるFDG-PET/CT、ソマトスタチン受容体シンチグラムでは10mm未満の微小腺腫の検出感度が弱く、現在自由診療や臨床研究として実施しているソマトスタチン受容体PET/CT、FGF23サンプリングが 10mm未満の微小腺腫における検出感度が高いことが明らかとなりました。
腫瘍は掻把や辺縁切除では生化学的寛解率(血清リン濃度の正常化)が低く、拡大切除が望ましいことや、残存腫瘍症例、切除不能例では従来療法よりもブロスマブ投与の方が各種検査値が改善する可能性が示唆されています。
このほか、悪性例4例では1例のTP53変異を伴った急速進行例を除き、ADLは比較的良く保たれていること、ステージの進んだ肺がん、前立腺癌、胃がんなどの中にFGF23産生能を有するようになったと予想される症例が5例含まれていることが明らかとなりました。
これまで予想していたことがデータとして示せたのと同時に、数は少ないものの悪性例の病態をまとめることができ、また、これまでのカテゴリーには含まれない進行期悪性腫瘍の傍腫瘍症候群としてのFGF23関連低リン血症の存在の可能性を示せたという点で臨床的に非常に有意義な検討であったと自負しております。
日髙尚子先生受賞おめでとうございます!