2024年10月22日

現在Yale大学留学中の加藤創生先生に、当研究室で担当してもらっていた成人XLH症例のPHEX遺伝子のバリアントの部位や血中PPi濃度と靱帯骨化症の相関解析についてまとめて頂いた論文が、米国内分泌学会のオープンアクセス誌 Journal of the Endocrine Societyにアクセプトされました。
XLHと同様に先天性FGF23関連低リン血症性くる病を惹起する疾患でENPP1遺伝子バリアントによるARHR2では、血中PPi濃度の低下と同時に著明な靱帯骨化症を起こすため、PPiの低下そのものが靱帯骨化症の原因である可能性があるかを検討すべく、XLH症例での血中PPi濃度と靱帯骨化の相関を調べたものです。しかし明らかな相関関係はなく、XLHやARHR2での靱帯骨化はPPi濃度の低下を介さずに発症するものと間接的に証明することができました。
また遺伝子バリアントのタイプ(点変化やハプロ不全、変化の場所)や男女差による靱帯骨化症への影響も明らかなものは見つかりませんでした。
個人的にはXLHやARHR2での靱帯骨化は、FGF23やPPiを介さない骨細胞表面でのPHEXやENPP1による別の作用によって生じやすくなっているのだと考えています。また靱帯骨化の程度に関しては運動や過重負荷による影響があるのだと思いますが、なかなか臨床研究としてその影響を数値化するのは難しいところだと感じています。
加藤創生先生、Yale大学での忙しい研究の傍らで本検討をまとめて頂きありがとうございました!!
また検討結果の解析において御助言頂いた大阪大学病院小児科の石原先生、大幡先生、窪田先生、大薗先生のご協力に感謝致します!!